時間がおいしくしてくれる熟成(エイジング)

「熟成」とは

料理には、「一晩ねかせる」とよくありますが、黒毛和牛も寝かせると、とても美味しくなります。(ホルモン類は除く) 時間とともに、肉の中の酵素によりタンパク質が分解され旨み成分であるアミノ酸に変化します。この過程が、店名の由来にも なっている熟成(エイジング)です。急がず、ゆっくり時間をかけ、正確な保存方法をとることにより、高価な調味料や食材を つかっても出せない、お肉本来の深い味わいをもたらしてくれます。

ドライエイジング製法

牛肉の熟成(エイジング)の方法には 2 種類ありますが、現在エイジング・ビーフで採用している製法が”ドライエイジング” となります。この製法は、骨付きの大きな部位のまま、温度 1℃~3℃(たんぱく質分解酵素がゆっくり活動する温度帯)、湿 度 60%~80%で常に肉の廻りの空気が動く状態を作り、そのまま 20 日~時には 2 ヶ月ほど熟成させます。表面が乾いたりカビ におおわれたりしますが、カビが腐敗バクテリア類の侵入を防ぐと考えられますので、チーズに付着しているような「ペニシリ ウム類」や「アスペルギルス類(麹カビ)」などで強い環境を整えることが必須となります。環境が整うと、水分の減少、たんぱく質分解酵素(プロテアーゼなど)により、たんぱく質(アミノ酸)の成分に変化が起こり、肉質はやわらかく、芳醇な香り と、旨味が増します。

黒毛和牛を熟成(エイジング)させることの難しさ

牧草で育った欧米等の輸入牛肉は、日本の霜降り肉よりも脂身が少なく、脂肪交雑も少ないため、赤身の強い肉質です。それ をドライエイジングすることで、旨みや適度な柔らかさを引き出しています。エイジング・ビーフでは、そのまま食べても美味 しい和牛を熟成(エイジング)させることで、もっと美味しくなるのではないか、高級食材のステーキ用ではなく、焼肉用とし ての可能性を追求することから、挑戦が始まりました。 まず、輸入牛肉と和牛肉をさまざまな条件で食べ比べてみると、決定的な違いは脂肪の質と香りにありました。黒毛和牛の特徴 である甘みある脂肪の香りを損ねることの無いよう、赤身の熟成効果を最大限に引き出す、熟成期間の見極めはとても難しいこ と。そこで、和牛のスペシャリストの力を借り、研究を重ねた結果、赤身と脂肪の熟成バランスがよい、熟成期間を見極めるこ とに成功したのです。ですが、霜降り肉には一頭一頭に個体差があり、熟成期間の見極めはとても繊細なことなのです。 10 年目を迎える今も、美味しさの研究は、日々続いています。